家電量販店の光回線営業トークに5Gが出てきた時に読んでおきたい。

こんにちは、寝てタイガーです。

先日家電量販店に冷蔵庫と電子レンジの購入に行ってきました。

家電量販店の販売員の方から今年の10月から4Gが順次5Gに移行するので、自分でwifiルーターを持っているメリットがだんだんと少なくなってくるという話を聞きました。

5Gというキーワードはこれまで聞くことはあったのですが、「現行の4Gより早くなるんでしょ」程度の認識しかありませんでした。

ただ話を聞くと、どうやらそんなに単純な話ではないようです。

そもそも5Gとは?

5Gは現在主流となっている4Gに続く次世代無線通信システムです。

5Gの特徴は以下の通り。

  • 高速大容量→4Gと比べて最低でも20倍になる
  • 低遅延→遠距離通信でもずれが生じにくい。「遠隔医療」や「自動運転」など、精密な動作が必要な動作での活用が期待されている
  • 多接続→4Gと比較して100倍以上の機器を同時に接続することができる

全世界のデータ量の推移を調べてもらうと分かるのですが、年々増加しています。

この増加していうデータ量を快適に使うために5G技術が必要になります。

日本は海外に比べて遅れている?

海外では、2019年に5G商用化が始まっており、日本では2020年の商用サービス開始に向けて各社が準備を進めています。

k-tai.watch.impress.co.jp

海外の展開よりも1年遅いことで日本の5Gの取り組みには「遅い」という声が上がっています。

ただ、2019年に先を争って商用化を進めたベライゾンも、韓国の3社もエリアが限定されていていたり、端末も1機種のみだったり、ネットワークが整備されていないために安定した通信ができなかったりと、まだまだ評価される実用レベルまでには至っていません。

tech.nikkeibp.co.jp

調査会社IDC Japanは、5Gは4Gよりもゆっくり普及すると予想しています。

また、同社の予測では2023年時点での5G対応端末の出荷台数はアメリカが60%超、日本を含む他の国は地域で30%前後と、長期的に見ると5G展開の動きに関して「日本が海外に遅れをとっている」訳ではなさそうです。

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日本5G周回遅れ問題についてはこちらの記事も参考にしました。

japanese.engadget.com

5Gの時代に何が起きるのか?、世界中のひとたちが身構えながら様子をみているところなのですから、日本でのサービスインのタイミングは問題ではありません。

もちろん、インフラ整備は大切です。適切な投資が行われることが大前提です。しかし、"1周遅れている"という表現が正しいとして、果たして何周先に本格的な5G時代のスタートラインがあるのでしょうか?

問題はスタートの遅れではありません。移動通信システムが新たな世代になった時、どのようなどのようなニーズが生まれ、そして社会的な課題として新しい事業が見えてくるのか。すなわち、次に何が求められているのかを感じることです。

日本国内の動き

日本では今年の4月10日に、総務省は「5G」の電話割り当てを決定しました。

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これによりNTTドコモKDDIソフトバンク楽天モバイルの4者は2020年内に「5G」による商用通信サービスを開始する見通しとなりました。

海外勢が先を行く中で日本政府も黙ってみている訳ではありません。

令和6年度までの5G基地局数の設置目標約7万か所に2割程度の上積みをするために、国が設置費用の半分から3分の2を負担する補助金制度や地域限定で企業や自治体にも電波を割り当てる施策を行っていくということです。

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総務省は今秋にも、携帯4社に割り当てた5Gの電波とは別に、工場など特定の場所だけで5G通信ができる電波の利用を各地の企業や自治体に認める。企業は工場内の生産ラインを自動制御する「スマート工場」などを推進しやすくなる。携帯事業者を介さない自前の通信網を構築できるようになるため、総務省は5G基地局の設置拡大につながるとみている。

プライベートLTE、ローカル5G

5Gについて調べていくと、「プライベートLTE」「ローカル5G」というキーワードが出てきます。

これは一般の企業など限られたエリアで使える通信技術です。

「プライベートLTE」とは、場所限定のLTEネットワークを指します。LTE譲りのセキュリティや集中管理の仕組みを備えながら、Wi-Fiのように比較的簡単に展開できるのが特長です。

ローカル5Gは、このプライベートLTEの「5G版」です、ローカルな5G、つまり「地域限定版プライベート5G」です。

ローカル5Gに関しては、IIJNEC富士通がサービス提供に向けた準備を進めています。

japanese.engadget.com

ローカル5Gの課題は、

  • ライセンスの取得
  • SIM(通信の切り替え)

のようです。

ローカル5Gにもいくつか懸念点がある。まず「ライセンスの取得」について中村氏は、地域WiMAX(※1)の免許を取得し、神奈川県藤沢市で通信事業に携わった経験から、「免許の取得が非常に面倒だった」「ローカル5Gでは、無駄な書類をたくさん書かなくてもすむような、時代に合った使いやすい免許制度を望む」と述べた。

 2つめの懸念点が「SIM」の問題だ。例えば、中村氏が慶應大学内でローカル5Gを活用して独自のネットワークを構築しようとすると、自分たちで認証用SIMを作らなければならなくなり、大きなコストがかかるという。

 また中尾氏は、自身のラボでプライベートLTE(※2)を構築し、SIMを発行した経験から、「電波が届かない圏外に出たときにみんな困る。いちいちSIMを入れ替えるのも大変です」と問題点をあげ、プライベートネットワークの圏外に出たときに自動的に通信事業者の全国ネットワークとつながる仕組みが必要だと課題をあげた。

プライベートLTE・5GとWi-Fiは何が違うのか。

Wi-Fiとの違いはこちらの記事が分かりやすいです。

monoist.atmarkit.co.jp

Wi-Fiは、もとより構内での無線利用を目的としているため、電波の届く範囲が数十mと狭いものの、大容量データを送受信しても通信料金が発生しないことから、さまざまな場所で活用されている。しかし、LTEと比べるとセキュリティ面に課題があったり、あるいは、通信状況が不安定になる場合もあったりするため、ミッションクリティカルなユースケースにおいては、Wi-Fiの全面的な利用には不安を伴う。

 これに対してプライベートLTEは、そのようなWi-Fiの「通信料が発生しない」というメリットを包含しつつ、認証にSIMを用いることで高セキュリティを、さらに公衆ネットワークを経由せず専用で利用できることから高速、高信頼、低遅延を担保できる。また、国や地域によっては、通信事業者が免許帯域をリースして、プライベートLTE設備を運用しているケースもある。つまり、Wi-FiLTE、両方のメリットを享受できるネットワークといえる。

5Gが普及したらWi-Fiは必要なくなるのか

4Gよりも速くて大容量の通信もできる5G。普及に向けて政府の後押しもあり日本だけでなく世界の国々が実用化に向けて動いています。

また、ローカル5Gが一般企業、公共インフラなどに普及すると「Wi-Fiいらないんじゃないか」と思います。

5G時代に対応した、新たなWi-Fi規格として、「Wi-Fi 6」の標準化が現在進められています。

現行のWi-Fiと比べて通信速度は速くなります。 またIoTを見越した仕様になっています。

kakakumag.com

5G対応のコンテンツが普及した時に、現在のWi-Fiが通信のボトルネックになるので、5G時代対応のWi-Fi策定が急がれています。

Wi-Fi 6」では、通信密度がより高くなっており、数多くのデバイスがひとつのルーターに接続した場合などに、通信がより安定することも大きな特徴です。今後、IoT対応デバイスなどが増えてくると、現在のWi-Fi規格では通信が不安定化することも考えられますが、こうした来たるべき時代の要請にも、「Wi-Fi 6」はしっかり対応しているのです。

現在モバイルデータ通信である4GとWi-Fiが共存していることを考えると、5GとWi-Fi6も共存していくと考える方が自然である気がします。

www.gizmodo.jp

ベンダー側もどちらかだけが生き残るとは考えていないようですし。

www.cisco.com

まとめ

家電量販店でのモバイルWi-Fiルータから光回線への切り替えセールストークでは、「今後4Gから5Gへの移行が始まる。公衆無線LANが5Gに切り替わるので自前でWi-Fiルータを持っているメリットがなくなってくる。UQWiMAXなどWi-Fiを扱っている事業者はモバイルルータが今後売れなくなる可能性があるので、既存の利用者に新機種などの切り替えをすすめて継続利用してもらいながら、解約料でお金をとれればいいと考えている。4Gから5Gへの移行段階では通信が混線する可能性もあり混乱が予想される。光回線に乗り換えてもらえれば工事費、解約料を負担するのでこの機会に光回線に切り替えてみてはどうか。 」というものでした。

これは最近耳にするバズワードを使った営業トークですね。

私は外出先でスマートフォンを使う機会が以前と比べてほとんどなくなったので、今回光回線に切り替える方向にしました。

ただ、5Gなど自分がよく知らない技術について営業トークがきた時はその場で即決せずに一旦保留にして、よく調べてから決断した方がいいと思いました。 営業トークでは外出先でモバイルルータが必要ないくらいに今後5Gが普及する位に言い方をしていますが、そんなに速く広く5Gが普及するかと考えると疑問です。

まずは自分で調べる癖をつけていきます。