楽天の完全仮想化ネットワークは大手キャリアへの伝家の宝刀になるか。
こんにちは、寝てタイガーです。
私はスマートフォンは楽天モバイルをiPhoneで使っています。
今年の10月にこれまでMVNOとして楽天モバイルを提供してきた楽天が携帯キャリア事業に参入します。
その楽天がどうやら画期的なことを行おうとしているようです。
楽天参入の目玉は完全仮想化ネットワーク
楽天の携帯キャリア事業参入の目玉は「完全仮想化ネットワーク」です。
ただ、いきなり「完全仮想化ネットワーク」と言われてみピンとこないので調べてみます。
大体のイメージをつかむのには、この動画が一番よいかと。
- 2019年2月、端末を用いて実際のユーザ同士を繋ぐ、初めてのエンドツーエンドのユーザーテストに成功
- 従来のシステムはハードウェアとソフトウェアが密接に結合しているため専用ハードが必要
- 完全仮想化ネットワークでは汎用ハードの上に仮想化レイヤー(クラウド化ソフトウェア)をおき、その上でアプリケーションソフトウェアを動かすことによって、機敏性向上やカスタム化も可能となる
- 楽天のネットワークは、まずは東名阪エリアから、その後全国に向けて順次拡大していく
- より効率的な5Gへの展開も見据えた「5G Ready」なネットワーク
- 4Gの基地局に5Gの無線機器を追加するだけで5Gネットワークが稼働する
- 必要な設備が大幅に削減され、よりシンプルかつコンパクトに、基地局を日本中で設置可能となる
今年の2月に実証実験に成功した時のニュースリリースです。
仮想化とは
仮想化とは「ネットワーク管理に必要な機器をソフトウェア化して、汎用のサーバで運用できるようにする」ことです。
これまで専用機器を使用していた部分にシスコやデル、HPのような汎用サーバで運用できるので、設備投資を圧縮できるメリットがあります。
つまり、「ネットワークを構成する全ての機器を仮想化しちゃいます」が「完全仮想化ネットワーク」となります。
完全仮想化ネットワークのメリットとして、基地局の設置がシンプル、コンパクトになることで、投資金額が抑えられるので、その分エンドユーザーの携帯料金も安く維持できます。
楽天が携帯キャリア事業に参入することになった時、事業には全国規模で通信網を構築するために莫大な初期設備投資が必要と言われていました。
楽天が計画していた設備投資は約6000億円で、これは大手キャリアの設備投資額の6分の1くらいでしかなく、都内にはアンテナの設置場所が残っていないという問題もありました。
費用とアンテナの設置場所の2つの問題を世界初の新技術の実用化で解決しようという考えなのでしょう。
後発だからこそ既存設備に縛られない発想からスタートでき、最初から5Gを見据えたネットワークシステムを構築できるところは強みです。
技術的に踏み込んだ解説はこの記事に。
インフラ整備は間に合うのか
これはもし実現したらすごいことになるんじゃないか、と期待する一方で、10月のサービス開始に向けて基地局の工事が遅れているとの記事もありました。
前出の楽天幹部は嘆息する。「こちらが工事関連の折衝に慣れていないこともあるが、我々が求めるスピードに工事会社がついてきてくれない」。必要とあらば朝令暮改をいとわず、スピード重視で物事を進めていくネット業界に対し、装置産業である通信業界は確実な計画を基に一つひとつの手を積み上げていく。その意識の違いが出ているのだ。
この基地局設置が間に合わない場合、足りない分の回線確保はどうするのかという問題がでてきます。
楽天モバイルはドコモの回線を借りており、10月に開始する携帯事業において東名阪エリア以外ではKDDIの回線を借りますが、 2社とも記事内では「いや、東名阪自分たちでやるって言ったんだから、もしできなくてもうちに回線は貸さないよ」というニュアンスの発言をしているようです。
まとめ
スマートフォンというか、iPhoneが世界を変えました。 でも、そろそろ飽きてきました。 新発売されるデバイスも大した驚きがなく、携帯料金も寡占で変わらない。 このあたりで業界を揺るがすような革新が起きてほしいです。 「そんなこと実現不可能だ」といわれた新技術「完全仮想化ネットワーク」を武器に楽天が 業界をひっくり返す絵が見てみたいですね。